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AIアシュアランスは、何をもって成長とするのか――2030年に向けたKGI・KPIの考え方

執筆者の写真: kanna qed
kanna qed
54 分前
読了時間: 8分

技術が他社の製品や業務に採用され、その継続利用が、次の研究開発を支える。

株式会社AIアシュアランスが目指すのは、この循環が広がる成長です。

特許出願や研究成果は、そのための重要な基盤です。しかし、それらの件数だけでは、技術が実際の仕事に使われているかはわかりません。一方、売上だけを見ても、一度限りの案件なのか、共通技術として継続的に使われる事業なのかは区別できません。

そこで当社は、技術の社会実装と、継続利用から生まれる収益を、成長を考える中心に置きます。

本稿は、2030年を見据えたKGI(目指す成果)とKPI(その前進を捉える指標)の考え方を示すものです。新たな業務や開示の仕組みを増やすためではなく、現在進めている研究開発・PoC・事業提携・ライセンス展開が、何につながっているのかを明確にするための整理です。



1.目指すのは、他社の製品や業務を支える技術ライセンス企業

当社の「中長期経営計画2026–2030」では、「意思決定インフラのライセンス企業」という方向性を掲げています。最終製品をすべて自社で提供するのではなく、多様な製品・システムを支える中核技術を開発し、その利用に対する対価を得る事業モデルです。[1]

たとえば、AIが提案した計画について、事前に定めた業務条件を満たすかを確認する。条件が確認できないときは実行を保留する。採用や実行の根拠を、後から第三者が確かめられる形で残す。

私たちは、こうした判断・実行を支える仕組みを、物流、行政、金融など、異なる領域の製品や業務にも応用できる共通技術として発展させています。

重要なのは、案件や社員の数を増やすことそのものではありません。技術が採用され、使われ続け、その利用が事業として成立することです。資金調達や組織拡大も、それを実現するための手段であって、最終目的ではありません。


2.Arm・Arteris・InterDigitalに学ぶ「成長の測り方」

この考え方に近い先行例として、他社に技術・知的財産を提供する企業の開示が参考になります。比べるのは企業規模や技術内容ではなく、何を成長の指標としているかです。

  • Arm

    • 公式資料に示された指標・目標: 契約額の年換算指標(ACV)、ライセンス等収益、ロイヤルティ収益[2]

    • 当社が参考にする考え方: 他社による技術利用を、契約と収益の両面で評価する

  • Arteris

    • 公式資料に示された指標・目標: 顧客が自社IPを使う新しい半導体設計を開始した件数(Confirmed Design Starts)、ACVなど[3]

    • 当社が参考にする考え方: 技術が顧客に採用されることを、将来の収益につながる先行指標と捉える

  • InterDigital

    • 公式資料に示された指標・目標: 2030年の年間継続収益10億ドルという目標、および継続収益の年換算指標(ARR)[4・5]

    • 当社が参考にする考え方: 研究・知財の価値を、継続的に生まれる収益と結び付ける

なかでもArterisは、顧客が技術を使う新たな設計を始めた事実を、事業成長と将来のロイヤルティ収益の指標としています。これは、「技術を開発した」ことと「顧客に採用された」ことを区別する発想です。[3]

もちろん、半導体の設計開始と、当社技術の本番採用は同じものではありません。各社のACV・ARRも定義が異なり、数値を直接比較できるわけではありません。Armは現在、半導体設計IPに加えて自社設計チップにも事業を広げています。[2]

私たちが参考にするのは、技術の開発 → 顧客による採用 → 継続利用 → 収益という流れを、企業の成長として捉える考え方です。先行企業が公表した数値目標を、そのまま当社の数値目標や公表義務に置き換えるものではありません。


3.2030年に向けた二つのKGI

KGI 1|AIアシュアランス技術の社会実装・普及

当社技術が、さまざまな企業の製品・サービスや実際の業務に組み込まれ、継続的に使われる状態を目指します。

PoCや研究開発は、この実現に向けた重要な活動です。ただし、実証に成功したことと、本番業務で使われていることは区別します。

ここで重視するのは、本番採用という実際の成果です。見かけの分野数や件数を増やすための特別な活動は行いません。現在進めている研究開発、実証、提携、商用化を一つずつ本番導入へつなげることが、そのままこの目標の達成になります。

KGI 2|継続収益を基盤とする、持続可能な事業の確立

技術の継続利用から生まれる収益が、通常の事業運営や必要な研究開発・知財投資を支える事業構造を目指します。

単発のPoCも、それ自体に価値がある仕事です。一方で、毎回新たな案件を受注し続けなければ事業を維持できない状態よりも、継続利用の対価が積み上がる状態を重視します。

継続収益を増やすことは、現金の確保と同じではありません。実際の入金、支払、知財関連費用などは、通常の会計・資金繰りの中で一体として管理し、実態から遊離した独自の管理指標は設けません。


4.進捗を見る三つのKPI

二つのKGIに向けた前進は、通常の事業活動から確認できる三つの成果を中心に捉えます。

  • ① 本番採用の実績

    • 見るもの: 当社技術が実際の製品・業務で採用された事実

    • 既存の活動との関係: PoC、共同開発、商用導入の成果

  • ② 継続ライセンス契約の実績

    • 見るもの: 継続利用を伴う契約の広がり

    • 既存の活動との関係: OEM、技術利用許諾、共同事業などの成果

  • ③ 継続ライセンス収益

    • 見るもの: 継続契約から生まれる収入の積み上がり

    • 既存の活動との関係: 既存の契約・請求・会計から確認できる成果

① 本番採用の実績

実証段階にある技術が、実際の製品や業務に採用されることを重視します。契約先と、その先に存在する利用企業は区別します。他社製品に技術が組み込まれた場合、その製品の利用者数を当社の直接契約数として扱うことはしません。

② 継続ライセンス契約の実績

月額・年額の技術利用契約や、他社製品への組込みに伴うライセンスなど、継続的な利用関係が成立した実績を重視します。単発PoCの受注と、継続契約の成立は区別します。

③ 継続ライセンス収益

継続的な技術利用から収益が生まれているかを見ます。単発のPoC料金は重要な売上ですが、継続ライセンス収益とは区別します。月額定額に限らず、契約内容に応じた年額料金やロイヤルティなども、事業の実態に即して評価します。

三つに共通するのは、指標を計測するための仕事を新たに増やさないことです。契約・請求・会計など、もともと事業上必要な情報から把握できる範囲を基本とします。


5.検証可能性は、件数を追うKPIではなく技術の価値

当社技術の重要な特徴は、判断の採用条件や実行の根拠を、後から確かめられるようにすることです。

Lean 4などを用いる形式検証では、明示した定義・前提の下で何が論理的に成立するかを確認できます。ただし、その証明が現実のあらゆる条件まで保証するわけではありません。外部情報の正確性や、数学モデルと実際のシステムとの対応は別に考える必要があります。[6]

だからこそ、証明件数、公開プログラム数、第三者による検証回数を、増加そのものが目的になるKPIにはしません。重要なのは、何を、どの条件の下で、どこまで検証できるかという技術的な中身です。

特許出願や研究成果も同様です。知財は事業を支える重要な基盤ですが、その件数を増やすことだけが最終的な成功ではありません。技術的な信頼性を高める活動と、事業としての普及を、それぞれの役割の中で評価します。


6.収益モデルは、PoCと継続ライセンスを基本に

当面の事業づくりでは、個別の有償PoCと、月額定額を基本とする継続ライセンスを中心に考えています。

PoCでは、一定の条件や範囲を設定して実証し、その仕事自体の対価を得る。本番導入後は、共通技術の継続利用に対して対価を得る。この組み合わせによって、研究開発と事業化を無理なく接続していきます。

ただし、料金や契約形態を一律に固定する考えではありません。案件に応じて年額契約、OEMライセンス、売上連動型のロイヤルティなども選択肢になります。月額定額に無制限の個別開発を含めるという意味でもありません。

研究・知財開発 → PoC → 本番採用・継続利用 → 継続収益 → 次の研究・知財開発

この循環を、現在の事業活動の延長として育てることを目指します。


7.指標のための業務を増やさず、現在の活動の延長線上で成長を測る

今回のKGI・KPIは、新たな集計制度、定期報告、外部検証の実施義務、個別の達成ノルマを設けるためのものではありません。

当社がすでに進めている研究開発、特許、PoC、企業との協業、技術ライセンス。この活動を通じて、技術がどのように社会へ広がり、継続的な事業につながっているか。その評価の軸を明確にするものです。

私たちが目指すのは、組織や資金調達額の大きさだけで評価される企業ではありません。日本発の検証技術が、多様な製品・業務で使われ続け、その普及を持続可能な事業として支える企業です。

技術の価値を、技術の説明だけで終わらせない。採用され、使われ続けることによって示していく。

それが、株式会社AIアシュアランスの考える成長です。

※本稿は2030年に向けた経営上の評価軸を示すものであり、特定の業績数値・達成時期の確約や、定期的な指標の公表を約束するものではありません。


出典・参考一次資料

各社の資料は指標設計の参考であり、当社との提携関係、企業規模や技術内容の同等性を示すものではありません。資料確認日:2026年10月22日。

[1]株式会社AIアシュアランス「中長期経営計画2026–2030」。意思決定インフラのライセンス企業としての事業方針。[2]Arm Holdings plc, Form 6-K / Shareholder Letter, 2026年7月29日。ライセンス等収益、ロイヤルティ収益、ACVの定義・開示。現在の事業領域には自社設計チップも含む。[3]Arteris, 2026年第2四半期決算発表, 2026年8月6日。Confirmed Design Starts、ACVなどの定義。[4]InterDigital, InterDigital Announces Annual Recurring Revenue Target Of $1 Billion By 2030, 2024年9月16日。2030年目標の公表資料。[5]InterDigital, 2026年第2四半期決算発表, 2026年7月30日。ARRの独自定義と業績開示。[6]株式会社AIアシュアランス「研究と事業技術についての方針」(公式サイト内)。Lean 4による検証の位置付けと前提条件。


 
 
 

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